ウミウシって、かわいくて、きれいで、不思議で、魅力がいっぱいなんです!!
そんな、海の宝石と呼ばれるウミウシを徹底解説!
この記事を読むことで
- ウミウシとはどんな生き物なのかがわかる
- ウミウシの基本的な生態がわかる
- ウミウシの不思議な生態がわかる
こんな悩みを解決する、ウミウシを知ったばかりの初心者に向けて書いた記事です。
ウミウシとは?
まずは、そもそも「ウミウシ」ってなんなの?というところから解説します。
ウミウシの定義
ウミウシを一言で表すのであれば、貝殻を持たない巻貝の仲間になります。
具体的には、動物界→軟体動物門→腹足網→異鰓下網に属する生き物です。
僕たち人間は、動物界→セキツイ動物門→哺乳綱→霊長目→ヒトとなります。
以前は、後鰓類(こうさいるい)という、心臓の後方に鰓(えら)がある種を「ウミウシ」と呼んでいました。
身近なウミウシでいうと、アメフラシやクリオネなどもウミウシの仲間になります。
ウミウシの名前の由来
名前の由来は、諸説あり、触角と海をゆったり歩く姿が牛のようなことからウミウシと名前がついたなど。
他にも
・海兎(うみうさぎ)→アメフラシの異名
・ウミネコ→小笠原諸島ではウミウシの触角をネコに例えて
などいろんなニックネームがあるようです。
ちなみに、「海牛」と書くと、今回話しているウミウシではなく、「ジュゴン」のことになります。
なぜ、「うみうし」よりも「ウミウシ」とカタカナで呼ぶことが多いのかは謎です。
英語では、Nudibranch(ヌーディブランチ)= Nudi(裸の)+branch(鰓)と呼ばれたり、sea slug(シースラッグ)= 海のナメクジと呼びます。
ウミウシはどんなところに住んでるの?
ウミウシの生息環境はとても幅広いです。
潮間帯と呼ばれる、潮がひくと人間が歩ける磯から、シュノーケリングできるような浅瀬、スキューバダイビングできる3m~40mほどの海の中など。
見つけられる環境も様々で、海藻、砂地、泥地、サンゴ礁、岩肌や岩の下と、海水がある環境でウミウシの餌があるなら、たくさんのウミウシを観察できる可能性があります。
一部のウミウシは、マングローブなどの海水と淡水が混じる汽水域(きすいいき)に住んでいたり、なんと海外パラオでは陸に上がった陸ウミウシまで発見されています。
水深100m超えで発見されたなんて話もあるので、とても幅広い環境に生息していることは間違いないようです。
ウミウシの大きさはどのくらい?
ウミウシの大きさってどれくらいなのでしょう?
結論から言うと、2~3mmの小さいものから、大きいと60~70cmのウミウシがいるとされています。
たとえば、アメフラシだと10cmを超える大きさです。
では、通称「ピカチューウミウシ」と呼ばれるウデフリツノザヤウミウシはどうでしょう?
大体 15~20mmくらいです。
羊のショーンに似てると話題の、〇〇モウミウシのサイズはというと、、、
3mmです。
上の写真ではグローブをはめた指の上に乗っているので、サイズ感が想像しやすいのではないでしょうか。
ちなみに、僕が人生ではじめて見たウミウシはアメフラシでした。(ウミウシという存在すら知らなかった幼少期に見た記憶があります)
ウミウシはどんな色や形をしているの?
色や形は本当に多種多様です。
触角と呼ばれる2本の角と2次鰓(にじえら)があるのがスタンダード。
と思えば、こんな形のウミウシがいたり、
はたまたこんな形のウミウシまで。
赤、青、黄色、ピンク、オレンジ、緑、紫、黒、白、透明などなど、色も形も多種多様なのがウミウシです。
ウミウシはどのくらい種類がいるの?
最新のウミウシ図鑑を参考にすると、日本だけで約1,260種のウミウシがいるそうです。
世界まで目を広げると、その数2000~3000種以上と言われています。
まだまだ未開拓な部分がおおく、研究が進んでいない分野のため、名前のついていないウミウシが日本だけでなく世界中にたくさんいます。
僕が住んでいる奄美大島だと、これまでに400種以上のウミウシが観察されています。(今本淳HP参照)
普段ガイドをしていて、年間150~200種くらいは観察できているのかな?と個人的には思うのでウミウシのポテンシャルすごいですね。(データまとめ中)
ウミウシはどうしてあんなにカラフルだったり派手な色をしているの?
カラフルな色や派手な色は、ウミウシが身を守るためや敵から身をまもるためと言われています。
ウミウシそのものは、毒を持たない小さな生き物。
しかも動きものんびりゆったりと、まるで海の中を歩く牛のよう。
そんなウミウシが広大な海の中で生き残るためにとった戦略。
それは、「毒を以て毒を制する」とでもいいましょうか。
ちなみに主にウミウシによくみられる擬態は以下の2種類。
- ミュラー型擬態
- 隠蔽型擬態
ミュラー型擬態とは
「毒を持つなど、相手にとって危険な能力を持つ者同士が姿を似せる」擬態方法のこと。
たとえば、ウミウシに似て非なる生き物に、ヒラムシがいます。
見事にウミウシそっくりに擬態しているヒラムシを見ると「お、おぉ〜!!」となるのは僕だけでしょうか。
ヒラムシは、おそらくミュラー型擬態をとることで身を守っているのでしょう。
隠蔽型擬態とは
「自分の姿を、生活環境や背景に似せる」擬態方法のこと。
こちらは海藻をホストとするウミウシや、カイメンをホストにするウミウシが、自分の体の色や形を、ホストとそっくりにすることで隠れているのだろうと思います。
また、カイメンやヒドロ虫など、他の生物にとって毒となる生物を食べることにより、自分の体の色をカラフルで派手な警告色としているウミウシもたくさんいます。
その他にも、ペッカム型擬態、ベイツ型擬態、化学擬態など、様々な擬態方法があるんだとか。
ベイツ型擬態とは
「自分の姿を、毒を持つような強い生き物に似せる」擬態方法のこと。
魚類でいうと、毒を持つシマキンチャクフグにそっくりな姿のノコギリハギの幼魚。
昆虫の世界では、毒を持つ蜂によく似ている虻などがベイツ型擬態の例と言えるようです。
参考:生き物たちの仮装!?
参考:ベイツ型擬態とミューラー型擬態
ウミウシは何を食べるの?
ウミウシが食べるものは多種多様です。
海藻、カイメン、ヒドロ虫などのクラゲ類、サンゴ、ソフトコーラル、ウミウシ、ウミウシの卵など。
同じものしか食べられないから、海の中でご飯を探すのが大変なんだ!
ウミウシって食べられるの? 味は?おいしいの?
日本では、一部の地域でアメフラシを食べることができるそうです。
- 鹿児島県の徳之島
- 千葉県いすみ市(旧大原町) 現地では「ござら」と呼ばれる
- 島根県の隠岐島や島根半島 現地では「べこ」と呼ばれる
- 鳥取県中西部 現地では「うみしか」と呼ばれる
サザエやアワビと似た歯ごたえで、噛んでいくとじゅわ!っとスポンジのようにうま味が絞り出されてくるらしいのですが、本当なのでしょうか…(半信半疑)
また、ウミウシの研究で有名な昭和天皇が、「ナマコが食べられるならウミウシも食べられるはずだ」
と、葉山の御用邸で料理長にウミウシを調理させたという話も。
ウミウシを食した昭和天皇の感想は「あまり美味しい物ではなかった」だったんだとか。
筆者は食べたことがありませんが、いつか挑戦してみたいところですね。
ウミウシの寿命は? ウミウシの一生について
ウミウシの寿命
ウミウシの寿命は、多くのもので大体1年未満、長いものでも3年以下といわれています。
中には数週間という短い間しか生きることのできないウミウシもいるそうです。
飼育水槽内ではタツナミガイの6年という長寿記録もあるとか。
ウミウシの一生
ウミウシが卵から生まれたときは、ヴェリジャー幼生という姿。
この頃はまだ貝殻を背負っているそうです。
僕らには見えない小さな小さな存在ですね。
そのうち「変態」と呼ばれる過程を通じて、貝殻を捨て、一般的なウミウシの姿になるようです。
ウミウシって飼育できるの?
結論から言うと、飼育は可能だが、ウミウシよりウミウシの餌の飼育が難しいです。
ここまで読んでくださったあなたは、ウミウシがどんな生き物かわかったのではないでしょうか。
ウミウシと似て非なる生き物
ウミウシそっくり!だけど全く違う生き物もいます。
ヒラムシ
先ほどミュラー型擬態で紹介したヒラムシ。
分類学的にいうと、軟体動物門に位置するウミウシとは全く違う、線形動物門に位置します。
見た目はそっくりなのに、生き物としては全く別なんですね!
「もっとウミウシのこと知りたい!」
そんなあなたのために、もう少し詳しく分類や不思議な生態について解説していきます。
ウミウシの分類について
基本的な分類について
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雑学:学名の読み方と由来について
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不思議すぎるウミウシのびっくり仰天な生態
ここでは、ウミウシの中でも特にびっくり仰天な生態を持つ種類を紹介していきます。
首を切っても再生するウミウシ
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使い捨てペニスを持つウミウシ
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盗刺胞 ミサイルをたくわえるウミウシ
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盗葉緑体 ソーラーパワーウミウシ
COMING SOON
まとめ
いかがだったでしょうか。
この記事を読んで「ウミウシって何者?」と思っていたあなたの悩みを解決できたらうれしいです。
「もっと詳しく知りたい!」
という方向けに色んな記事を今後も書いていきます。
それではまた。
参考
ウミウシ学 海の宝石、その謎を探る 平野義明 著
擬態(ぎたい)の意味と種類を解説【擬態は生物たちの強力な生存戦略】
隠岐の島でアメフラシを食べる
特別寄稿 天皇陛下の生物学ご研究